□社長のこと 47   M.S.

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社長のプランづくり その1


寝ているときも考えている社長のプランニングとは

取引先の方から聞かれることの多いのは、社長のプランの作り方だ。「寝ているときも考えている」ことを説明するには、この項目は避けて通れない。
(「寝ているとき…」の説明は次回以降になると思うが、プランニングの進み方どおりに話を進めていくつもり。その方が皆さんに判りやすいと思うから)

しかし、このことをHPに掲載するについては、かなり頑強な社長の抵抗があった。2ヶ月のやりとりの結果、いろいろ条件がついて、書くことができたというわけ。戸建住宅設計の仕事の流れを、社長自身のコメントと共にご紹介しよう。

まず、第1回目のお客様との打ち合わせは、条件の聞き取り(ヒヤリング)だ。
ヒヤリングには、システム手帳のバイブルサイズに独自の書式が作ってあって、それを利用する。ちょうど医者のカルテのようなもので、敷地の法的条件から、家族構成やその趣味、その他いろいろな与条件を書き込むようになっている。バイブルサイズのリフィル裏表で一枚と、とてもコンパクトだが、ほとんどの情報がここに記入される。

前に2度ほど聞き取りに同席したが、他の項目で紹介したステッドラーのピグマライナー0.05ミリで小さい字を、お客様に質問をしながら、どんどん書いてゆく。

プランニングの第一の山場が、この聞き取りだね。どこまで聞けるか、どこまでお客様の意見や話を引き出せるかで、すべてが決まるところがある」

「聞き取りで一番大事なこと。それはお客様の人柄を見ることだ。他でも掲載されたけれど、
住宅設計で大切なのは、自分の建築の知識をそのお客様が持っているとしたら、どうするかを考えることだと思う。だから、自分がその人に感情移入する必要があるんだ」

「私に気を遣って、競合する同業の存在や打ち合わせを隠すお客様がおられるが、話し始めればすぐに分かるし、すでにプランの提出を受けているかどうかも分かる。すでにプランのフィードバックがある顧客のほうが、効率よく聞き取りができるから、うれしいくらいだ。もちろん、未整理の条件でも全く構わない」

「この聞き取りで顧客の話す条件に矛盾があったり、家族間で意見の違いがあっても、全く気にならないし、それは住まいづくりでは当然のことだと思う。そういう部分も含めて打ち合わせられたほうが、こちらの意見も言いやすいし、アイディアも出やすいと思う。一見矛盾する事柄をうまく建築的にクリアできたときは、うれしいものだ」

ちなみに社長はつねに顧客を「お客様」と呼び、「お客」や「客」と言っているのを聞いたことがない。社内でも顧客名の呼び捨てなどは絶対しない。面白いのは、手帳にも個人名を全て「様」付けで記入していることだ。社長はぶっきらぼうな口調の時もあるけれど、顧客に対する敬意はいつも忘れていない。

「お客様によい印象をといつも心掛けているけれど、プランを頭の中に作りながら打ち合わせるから、うまく面白いアイディアが浮かんだりすると、目の前のお客様よりアイディアに頭が切り替わってしまって、失敗することもある。お客様が業界人や物を創りだす方だと、そういう状況を理解していただけるが、そうでないと、途中から機嫌が悪くなったり、心ここにあらずと見えるようで、このクセはいつまで経っても直せない」

やっぱり社長を説得して書き始めて良かった。もっと早く書いていればと思うくらい、このハナシ面白い!
次号に続きます。




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